日本では12月の一大イベントといえばクリスマスですが、ユダヤ教徒は同じくらいの時期にハヌカ(Hanukkah)をお祝いします。毎年ユダヤ暦の9月25日から8日間がハヌカとされ、今年は12月2日から10日がその期間にあたります。どのようなイベントなのか、見てみましょう。

ハヌカとは?

紀元前2世紀、イスラエルの地はシリアのギリシア人の支配下にありました。彼らは、ヘレニズム文明を広めるのをその占領政策としていて、ユダヤ教の聖所であるエルサレム神殿を汚し、人々に異教の慣習を押し付けたり、ユダヤ教のおきてを禁じたりしました。 そこで、ユダヤ人は反乱を起こします。強力なギリシア軍に勝利した彼らは、紀元前165年、エルサレム神殿を奪回し、解放しました。

ギリシア軍はエルサルム神殿を占拠していた時、神殿の燭台を点す油の壷を全て汚しました。しかし神殿解放の日、汚れていない油壼が1つ見つかります。油は1日分にも満たなかったものの、火をつけてみるとなんと8日間も燃え続けました。ハヌカは、この奇跡を記念した祭日です。

ハヌカは別名、「光の祭り」とも呼ばれます。 ハヌカには特別な燭台を用います。8枝(台)ともう1つのろうそくをつける台がついていて、9本の台がある燭台です。これはハヌキヤと呼ばれます。 ろうそくは、1日ごとに1本ずつ増やして点火していき、8日目に全部が灯されるようにします。点火用のろうそくは、「シャマシュ」という呼び名がついています。

(出典:ユダヤ教ーユダヤのお祭り|ミルトス

 

どんなことをするの?

HelloTalkのユダヤ人スタッフ、MishaとViktoriiaにハヌカの思い出を聞いてみました。

Kaoru (以下、K): (バーガーショップにて)今日は二人に、ハヌカについて聞いてみたくて。ハヌカって言ったら、二人は何を思い出す?

Viktoriia(以下、V): ドーナツかな。

K: なんでドーナツ?

V: ハヌカの起源で、1日分の油でろうそくが8日間も燃え続けたっていう話があったでしょ。ハヌカにおいて油は歴史的に大事な要素なの。それで、ハヌカでは油を使った料理を食べるの。ちなみにヘブライ語では、ドーナツは「sufganiya(スフガニア)」って言うよ。

K: そうなんだ!アメリカでホームステイをしていた時、ホストファミリーがユダヤ系だったから一緒にハヌカをお祝いしたけど、ドーナツを食べた記憶は全然ないなあ。ずっと前のことだから覚えてないだけかな(笑)

Misha(以下、M): 一口にユダヤ教徒と言っても、祖先が元々どこの人かによって、習慣は異なるからね。

V: イスラエルでは、どこのお店でもハヌカの1週間前からドーナツを売り始めるよ。それで、みんな一気に5、6個買って毎日食べるから、ハヌカ初日にはもう食べ飽きちゃう。

M: 味の種類もたくさんあって、金箔入りのドーナツまで売ってるよ。

K: えー、金箔入りまで!

Viktoriiaのハヌカの思い出、ドーナツ。

K: Mishaは、ハヌカといえば何? 

M: 子供の頃は、お金をもらえるのを楽しみにしていたよ。

K: あー、日本のお年玉みたいな感じかな。Mishaたちの家では、ハヌキアのろうそくに火をつける以外にハヌカでは何をするの?

M: お祈りをするよ。

K: ヘブライ語で?

M: うん。こういう内容だよ。

Misha実家のハヌキア。シックで素敵!

V: ドレイデル遊びもするよね。

M: そうそう。

K: 何それ? 

M: 駒のことだよ。4つの面にヘブライ語の文字が書いてあるんだけど、それぞれ「נ-נס ג-גדול ה-היה ש-שם (A big miracle happened there. 大きな奇跡がそこで起こった。)」の頭文字になってる。ハヌカは歴史的な行事で、ドレイデルを通して親が子どもにそのストーリーを語り継いでいくよ。 

K: へー、そうなんだ!

ドレイデル。4面に、ヘブライ文字が書かれている。

V: これはハヌカシーズンのエルサレムの写真。昼間には子ども向けのハヌカイベントが開催されることもあるよ。

エルサレムに設置された巨大ハヌキア。

K: すっかりハヌカモードだね。アメリカで祝うハヌカとイスラエルで祝うハヌカ、結構違うんだろうな。いつか、ハヌカシーズンにイスラエルに行ってみたい!

M&V: いつでも遊びにおいで!

インタビュー中でもお話した通り、筆者はアメリカ滞在中にハヌカを体験しました。「みんながみんな、クリスマスを祝うわけではない。各個人・家庭での伝統、習慣がある。」これは一番の学びでした。

“Happy Holidays” –– シンプルな表現ですが、このフレーズなら、どの人に対しても使うことができます。HelloTalkのお友達との会話やモーメントで、是非使ってみてください。

Interviewed and written by Kaoru Nakano